映画『スパイナル・タップ』

画像34年前の映画が、なんと今になって国内初公開。
知らなかった。
当時公開されてたもんだと思ってた。
俺が初めて観たのは友人がダビングしてくれたVHS。

…というワケで『スパイナル・タップ』。
60年代から音楽性をシフトしながら活動し続けた英国の老舗ロック・バンドが、1982年に行なった6年ぶりの全米ツアーの模様を追ったドキュメンタリー。
…と見せかけて、実は全くのフェイク。
しかし当時はフェイクであることを前面に出さないまま公開したため、本当のドキュメンタリーだと信じた観客が続出したという…。

60年代前半にスキッフル・グループとしてスタートしたバンドが、メンバー交代と改名を繰り返して1967年にSPINAL TAPとなる。
その頃は時代を反映したサイケ・ポップをやっていたが、70年代以降はハード・ロックに転じ。
しかし活動15年を経てメンバーも30代後半、人気にも陰りが見え。
そんな中、バンドは新作を引っさげて6年ぶりの全米ツアーに乗り出す。
そこで、バンドの大ファンである映画監督マーティ・ディ・ベルギーがバンドに密着し、ドキュメンタリー映画を製作。
しかしツアーはとんだ珍道中であった…というのがあらすじ。

監督はのちに『スタンド・バイ・ミー』や『ミザリー』で知られることとなるロブ・ライナー。
ロブは自らマーティ・ディ・ベルギー役を演じ、映画に出演している。
SPINAL TAPのフロントの3人(ヴォーカル、ギター、ベース)は俳優だが、全員が実際にプレイして歌う。
キーボードとドラムは本当にミュージシャン。
キーボーディストのヴィヴ・サヴェージを演じるのは元RARE BIRDのデイヴィッド・カフィネッティ。
ドラマーのミック・シュリンプトンは元ATOMIC ROOSTER他のリック・パーネルが演じている。
リックは1999年にTHE DEVIANTSのドラマーとして来日した時にインタヴューしたけど、まったく面影なかったな…。

他にもカメオ出演多数。
前身バンド・THE THAMESMEN(THE BEATLES風のビート・グループ)時代のベーシストを演じているのは、なんとダニー・コーチマー。
ベーシストのデレク・スモールズ(ハリー・シェアラー)といちゃつくグルーピーは、元THE RUNAWAYSのベーシストだったヴィッキー・ブルーが演じている。
そしてSPINAL TAPのライヴァル(?)であるデューク・フェイム役で出演しているのは…ROUGH CUTTのポール・ショーティノ!

サイケ・ポップからハード・ロックへ…という音楽性の変遷は、ひょっとしてSTATUS QUOを意識しただろうか。
とにかく珍道中、珍エピソードの連発。
マネージャーのモデルの一人は、間違いなくLED ZEPPELINのマネージャーだったピーター・グラントだろう。

ただ、アンプのヴォリュームが11まであるとか、楽屋からのルートで迷ってしまってステージに出られないとか、歴代のドラマーが次々と変死するとか、伝説的な(?)ギャグがいろいろと登場する『スパイナル・タップ』だが…正直言うと大爆笑の連続という感じではない。
(ちなみに、歴代ドラマーの一人であるジョー“ママ”ベッサーを演じたフレッド・アスパラガスはその後実際に亡くなっている)
“ロック・バンドあるある”をフィーチュアしながら、カウリスマキ兄弟の映画にも通じるようなペーソスとくすくす笑いが交錯するという感じ。
実際、『スパイナル・タップ』はカウリスマキ兄弟の『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ』や、あるいは『スティル・クレイジー』といった、ユーモアとペーソスを交えた架空ロック・バンド映画に大きな影響を与えたのではと思う。
(いや、LENINGRAD COWBOYSは架空のバンドじゃなかったが…)

ともあれマッチョでおバカなロック・バンドのステレオタイプを、愛情をこめておちょくり倒したこの映画。
メタル・ファンがメタルに命かけてた80年代当時の公開だったら大変なことになってた気もするが(笑)、今なら誰もが笑って楽しめるはず。


6月16日(土)より、新宿武蔵野館はじめ順次公開。


作品タイトル:スパイナル・タップ
公開表記: 6月16日(土)新宿武蔵野館他全国ロードショー
配給:アンプラグド
コピーライト:©1984 STUDIOCANAL All Rights Reserved.

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