映画『ジ・アリンズ/愛すべき最高の家族』

画像シド・ヴィシャスやダービー・クラッシュあたりをも軽く凌駕する稀代の破滅型パンク・ロッカー、GGアリン。
1993年に36歳で死亡。
この映画はGGの生涯と共に、残された兄マール・アリン、母アリータ・ベアードのその後を切り取ったドキュメンタリー。

キャッチコピーは“母と兄に、心から拍手を! 静かにあふれる感動がここに。”というモノ。
正直「え~? ホントに?」と思いながら観始めた。

結果。
ボロ泣きしました(苦笑)。

もちろん、女性客に襲いかかり、ウンコまみれで転げまわるGGアリンの映像は山ほど出てくる。
(GGというと最晩年の坊主頭で小太りでウンコまみれなイメージが強いかも知れないが、かつてデイヴィッド・ピールが「ピンナップにしたいほどのハンサムだった」と言った通り、80年代のGGはスリムでえらくカッコいい)
一方で、狂乱のパンク・ロッカー“GGアリン”ではない愛すべき息子“ケヴィン・マイケル・アリン”を日々思い出しながら静かに過ぎて行くアリータ・ベアードの生活。
THE MURDER JUNKIESでの活動を続けながらGGアリンのグッズを販売して生活し、GGを今も無二の相棒として暮らすマール・アリン。
残された二人の暮らしが、淡々と、時ににぎやかに映し出される。

GGアリン亡きあとのマール・アリン及びTHE MURDER JUNKIESに興味を持つ人はそれほど多くないのではと思うが。
この映画では、マールの今の暮らしを垣間見ることが出来、それはなかなかに興味深い。
郊外のこぎれいな住宅(中はきちんと整理されてこそいるものの“GG博物館”の様相)に住み、隣人と仲良く付き合う(!)マール。
MURDER JUNKIESの活動で十分稼げているとは到底思えないながら、ネットを駆使してGGのグッズを販売することで、望み通りの生活を送れている。
マール曰く、GGのグッズを出し続けることで、GGの名を世に残し続けることが出来るのだと。
GGが亡くなった直後に制作されたドキュメンタリー映画『全身ハードコア』ではハンサムでセックス・シンボル的だった全裸のドラマー、ディーノ・セックスの老け込み具合はけっこうショック。
それでもMURDER JUNKIESはヴォーカリストとギタリストを入れ替えながら活動を続けている。

何より強くたくましく信心深くキュートでチャーミングな母、アリータ・ベアード。
子供たちを連れてイカレた夫から逃げ出し、ところが二人の息子はイカレポンチのパンク・ロッカーになってしまい、次男はウンコまみれで夭逝。
それでも息子たちを愛し、亡き“ケヴィン・マイケル・アリン”との絆を今も感じながら、死後の再会を信じる。
重松清が現在朝日新聞で連載中の小説『ひこばえ』に「どんな親でも…親は親だ」という台詞が出てくるが、アリータに言わせれば「どんな息子でも…息子は息子よ」といったところか。
ネタバレを避けるため詳細は伏せるが、GG=ケヴィンの終生変わらなかったアリータへの愛情を感じさせるエピソードに、本当にボロボロ泣いた。

アリン兄弟の生い立ちと活動についてもかなりきちんと説明されていて、GGアリンのファン以外にも入り込みやすい作品。
(GGの凄まじいパフォーマンスをどう思うかは別として)
キャッチコピー通り、正直びっくりするほどの感動作(!)なので、多くの人に観てほしいと願ってやまない。

23日より、シアター・イメージフォーラムにて公開。


(C)Toolbox Film 2017

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