FASTWAY/BAD BAD GIRLS(1990)
FASTWAYもリー在籍時が一番好きなのだという。
ふーん。
で、久しぶりにリー・ハート在籍時のFASTWAYを聴き直してみましたよ。
リーが参加した2作目にして、サントラ盤『TRICK OR TREAT』(1986年)を除くとFASTWAYのオリジナル・アルバムとしては5作目。
そして21世紀に復活する以前のラスト・アルバム。
前作『ON TARGET』(1988年)ではニール・マーレイ(ベース)、ゲイリー・ファーガソン(ドラム)、ドン・エイリー(キーボード)といったあたりが脇を固めていた。
『BAD BAD GIRLS』では一応‟ファスト”エディ・クラーク(ギター)、リー・ハート(ヴォーカル、ギター)、K.B.ブレン(ベース)、リフ・ラフ(ドラム)という4人編成のバンドとなっているものの。
しかしブックレットにはその4人での写真がフィーチュアされつつ、実際のレコーディングは多くのゲスト・プレイヤーを迎えて行なわれた様子。
(K.B.とリフ・ラフはアルバムが完成してから加入した模様)
リズム・セクションはティム‟ニブス”カーター(ベース)とナイジェル・グロックラー(ドラム)のSAXON組。
(ビフ・バイフォードもバッキング・ヴォーカルで参加)
キーボードは前作に引き続きドンと、リー人脈で当時SAMSONにいたトビー・サドラー。
そしてGIRLSCHOOLからキム・マコーリフ(バッキング・ヴォーカル)ら。
豪華といえばなかなか豪華。
ただしどの曲に誰が参加しているのかのクレジットはない。
アメリカナイズされたとか産業ロックだとかいろいろ言われている作品だが、よく聴けばいわゆる産業ロックとされるアメリカのメロディアス・ハードやハード・ポップの類とはかなり違うのがわかる。
K.B.ブレンとリフ・ラフの二人(この二人、結局何者だったのか…)にわざわざ‟from L.A.”というクレジットがあるように、バンドがLAメタル的なアメリカンな方向を積極的に打ち出そうとしていたのかはわからない。
しかし多くの楽曲はアメリカンになどなり切れない、いかにも英国バンドらしいアメリカナイズぶりを聴かせる。
例えばこのアルバムの翌年にリリースされたPRAYING MANTISの復活作『PREDATOR IN DISGUISE』(1991年)のポップな楽曲を思わせるような…。
…と思ったらこのアルバム、その『PREDATOR IN DISGUISE』で一番アメリカンっぽい「She's Hot」を書いたクリス・オショーネッシーがプロデュースとソングライティングで参加してるじゃねえか。
道理で…。
(『PREDATOR IN DISGUISE』ではリー・ハートも曲を書いている)
全11曲中、‟ファスト”エディ・クラークがソングライティングに関わっているのは半分以下の4曲。
クリスは6曲。
リーがFASTWAYの前にやっていたYA YAのギタリスト、レイ・コールカットが4曲。
そしてリーはクリスやエディやレイと全曲を共作。
それでも、‟ファスト”エディ・クラークが1曲も書いていない(!)『WAITING FOR THE ROAR』(1985年)に較べれば、まだエディ色が出ているアルバムと言える。
エディが作曲に絡んだ曲では、疾走感のある「Cut Loose」なんかはフツーにカッコいいし、THIN LIZZYの「Killer On The Loose」を彷彿とさせるデジタルな縦割りビートのハード・ロック「Death Of Me」もユニーク。
ギター・ソロも、いかにもエディらしいモノもある。
(一方で全然らしくないのもあるのだが)
初期2作でのブルージーでLED ZEPPELINっぽいFASTWAYを好きな人の多くには受け入れがたい作風かも知れない。
しかし‟ファスト”エディ・クラーク以外全員が入れ替わった、同じ名前の別のプロジェクトと思って聴くと、決して悪いアルバムではない。
そしてリー・ハートが意外と(?)歌えるシンガーであることにも、改めて気付かされるはず。
当時のFASTWAYがライヴでどんな曲を演っていたのか知らないが、多分リーはデイヴィッド・キングが歌っていた初期のレパートリーもそれなりに(あくまで自分流にだろうが)歌えていたのではと想像する。
それでも80年代半ば以降の‟ファスト”エディ・クラークが何処を目指していたのか、という疑問は残る。
本当にこういうキャッチーな方向を自ら目指していたのか、それとも商業的成功が欲しいが故の妥協の産物だったのか。
ともあれリー・ハートをフィーチュアしたFASTWAYは続かず。
エディによってバンドは21世紀に復活を果たしたが、悲しいことにそのエディももういない。
エディと別れて以降のリーはポール・ディアノやデニス・ストラットンといった元IRON MAIDEN組を引き入れて怪しげなプロジェクトを幾つもやっていたものの、最近はとんと名前を見かけない。
この記事へのコメント