THE STRANGE MOON/SECOND TRIPS

STRANGE MOON.jpgMARBLE SHEEP/キャプテン・トリップ・レコーズのKenこと松谷健のバンドKEN & THE STRANGE MOON、2019年の1stアルバム『IN THE STORMY NIGHT』(https://lsd-blog.at.webry.info/201903/article_18.html)に続く2ndアルバム。
バンド名は短縮されて、単にTHE STRANGE MOONとなっている。

『IN THE STORMY NIGHT』の時点ではKen(ギター、ヴォーカル)、Ajima(ギター)、Keiji Ronson(ギター)、Ike-chang(ドラム)の4人がメンバーだったが、今回は『IN THE STORMY NIGHT』でゲスト扱いだったLouisことルイス稲毛(ベース)、Kummy(コーラス:元MUTANT MONSTER BEACH PARTY)、Tomoko Jett(コーラス:環七スピードキャッツ)もバンドのメンバーとしてクレジットされ、ジャケットにも7人の姿が写っている。
他にTaro Arakawa(パーカッション、コーラス:元MARBLE SHEEP)、ko2rock(サックス、コーラス:JAGATARA2020)、Madoka(コーラス)がゲストとして参加。

CDの再生ボタンを押すなり飛び出してくる、荒々しくガレージ的なサウンドに驚かされる。
プロデュースはKenとKeiji Ronsonで、エンジニアはKeiji。
『TWIGA』(https://lsd-blog.at.webry.info/202011/article_12.html)の頃のMARBLE SHEEP & THE RUN DOWN SUN'S CHILDRENや90年代末以降のMARBLE SHEEP、Kenのソロ・アルバム『AFTER THE RUSH』(2015年)の方向性を融合し統合したような印象があった『IN THE STORMY NIGHT』に対し、文字通りその次を目指したような新しい一面が聴ける。
全体的にR&R色の強い音は、一聴してMARBLE SHEEP時代に揺り戻したような感がありつつ、サイケデリックにしてハードなR&RだったMARBLE SHEEPに較べると、音質のせいもあってややパンク的な感触。
そんな中でも「Abduction(カウ・ガールと光る物体)」はやっぱりというかT.REXっぽかったり。
「Warp(時空をゆがめて)」には90年代のウェイン・クレイマー(元MC5)のソロを思い出したり。
「A Cornfield in the Desert(コーン畑の怪)では後期のWHITE HEAVENを連想したり。

一方で「Abduction」後半はまさかのカントリー/カウ・パンク的展開。
「My Sweet Vampire(愛しのヴァンパイア)」も、コレまでのKenの音楽にはなかったファンキーさを聴かせる。
「Dreams of Equatorial(赤道直下の夢)」は更にびっくりのラテン・ロックだ。
「Stand By Me」風のベースで始まる「Mr.Spice(ミスター・スパイス)」はフィル・スペクターを意識したかのごとき、奇妙なポップ・ナンバー。
(CDの帯には”大ヒット曲「ミスター・スパイス」を収録したセカンド・アルバム”とある)
そして強力なR&R「We Need Beer(ビールちょうだい)」でアルバムが終わる。

KummyとTomoko Jettはコーラスとクレジットされているが、リード・ヴォーカルを担当する箇所も多く、実質的にトリプル・ヴォーカルと言える状態。
『IN THE STORMY NIGHT』同様、Kenの歌詞には女性的な言い回しも多く、女性ヴォーカルは自然にハマっている。
ゲストのサックスとパーカッションも随所で効果的に響く。

あと、各楽曲に英語タイトルと邦題が両方付けられているのが楽しい。
その昔、俺がキャプテン・トリップ・レコーズでよくライナーノーツを書かせてもらっていた頃、Kenと二人していろいろ邦題を考えるのを楽しんでいたのを思い出した。

還暦となったKenがまだまだ新しいアイディアにあふれ、音楽を楽しんでいるのが伝わってくる1枚。
『SECOND TRIPS』、1日より発売中。