ペースメーカーの退場に寄せて

SCOTT KEMPNER.jpgTHE DICTATORSの”ペースメーカー・ギター”であり、THE DEL-LORDSのヴォーカリスト、そしてソロでも活動していたスコット”トップ・テン”ケンプナーが、認知症のためDICTATORSを離れるという。
DICTATORSだけでなく、音楽活動自体の終了と考えるべきだろう。
嗚呼。

ハンサム・ディック・マニトバ(ヴォーカル)、ロス・ザ・ボス(ギター)、アンディ・シャーノフ(ベース)という往時のメンバーに、のちにTHE DICTATORSのメンバーとなるJ.P.”サンダーボルト”パターソン(ドラム)も参加していたMANITOBA'S WILD KINGDOMが(DICTATORSの未発表曲をレパートリーにしていながら)再編DICTATORSを名乗らなかったのは、そこにDICTATORSのペースメーカー・ギターたるスコット・ケンプナーがいなかったからでは、と思っている。
そして90年代後半になってDICTATORSがようやく再結成を果たした時には、当然スコットがそこにいた。
スコットはDICTATORSにとって、欠くべからざるメンバーだったのだ。

現在のTHE DICTATORSに、バンドとしての実態がどれほどあるのか知らない。
(ハンサム・ディック・マニトバとロス・ザ・ボスを中心とするTHE DICTATORS NYCにはスコット・ケンプナーどころか、リーダーだったはずのアンディ・シャーノフすらいない)
スコットがバンドを離れる、とアナウンスされているからには、他のメンバー(って誰だ?)にはスコット抜きでバンドを存続させる意志があるのだろう。
しかし、スコットのいないDICTATORSはDICTATORS足り得るのだろうか。
もちろん俺たちは、不動のリズム・ギタリストだったマルコム・ヤングを欠くAC/DCが現在も存続しているという事実を知っているのだが…。

スコット・ケンプナー、この2月で67歳。
随分早いリタイアだ、と言わざるを得ない。
しかし認知症を患ったマルコム・ヤングは64歳で逝った…スコットより若かったのだ。

70歳まで現役を続けたレミーや、もうすぐ74歳になるイギー・ポップ…などの存在(そしてTHE ROLLING STONES!)に、俺たちは慣らされ過ぎただろうか。
ロック・ミュージシャンなんて、そもそも27歳でバタバタと死ぬような”Live Fast, Die Young”な存在だった。
スコット・ケンプナーも、自分が60代後半まで生きて認知症になるとか、想像もしていなかったかも知れない。
だがしかし。
だがしかし…。