QUICKSILVER MESSENGER SERVICE/ANTHOLOGY(1973)

QUICKSILVER MESSENGER SERVICE.jpgオリジナル・アルバムを紹介し。
https://lsd-blog.at.webry.info/201607/article_120.html
再結成アルバムも紹介し。
https://lsd-blog.at.webry.info/201612/article_12.html
ゲイリー・ダンカン(ギター)のQUICKSILVER名義のアルバムも紹介し。
https://lsd-blog.at.webry.info/201607/article_1424.html
…という程度にはQUICKSILVER MESSENGER SERVICEが好きなんだけど。
更にベスト盤も行ってみましょう。

バンドが解散した1973年にリリースされているのだが。
国内CD化は88年と90年。
その前の86年にはシー・フォー・マイルズから『THE ULTIMATE JOURNEY』が出ていて。
そして88年にはキャピトルから『BEST OF QUICKSILVER』が。
更に90年にはライノから『SONS OF MERCURY(1968-1975』と。
ゲイリー・ダンカンのQUICKSILVERも86年にアルバム『PEACE BY PIECE』をリリースしている。
何だろう、80年代後半から90年にかけてQUICKSILVER MESSENGER SERVICE再評価ブームでもあったのだろうか。
ライノからの編集盤は、ジョン・シポリナ(ギター)が89年に亡くなったのを受けてのモノだったかも知れない。

1stアルバム『QUICKSILVER MESSENGER SERVICE』(1968年:全米63位)から6thアルバム『QUICKSILVER』(71年:全米114位)までの楽曲を時系列で並べ。
更に68年のシングルB面曲「Bears」(オリジナル・アルバム未収録)を加えているのだが。
何故か7thアルバムにして(再結成前の)ラスト・アルバムとなった『COMIN' THRU』(72年:全米134位)からは1曲も選ばれていない。
一番売れなかったから?
(一方『BEST OF QUICKSILVER』では『QUICKSILVER』の楽曲が収録されていない)

時系列の収録なので、メンバーの入れ替わりに伴うバンドの音楽的変遷がわかりやすく。
そのため、QUICKSILVER MESSENGER SERVICE入門編としてはかなりナイスな1枚だと思う。
(1枚というか、オリジナルLPは2枚組だったが)

ただ、25分に及ぶ組曲「Who Do You Love」が売りだった名作2ndアルバム『HAPPY TRAILS』(1969年:全米27位)からは「Mona」1曲しか収録されていない。
そこは編集盤の限界で。
もっとも、このベスト盤を聴いて気に入った人は、『HAPPY TRAILS』をはじめとしてオリジナル・アルバムも買いたくなるだろう。
ちなみに『HAPPY TRAILS』は発売後20年以上じわじわと売れ続け、なんと92年になってゴールド・ディスクを獲得している。

豪快で太いギター・ロックを聴かせる初期から、ニッキー・ホプキンス(キーボード)を迎えて洗練された感のある3rdアルバム『SHADY GROVE』(1969年:全米25位)へ。
ゲイリー・ダンカンとディノ・ヴァレンティ(ヴォーカル)が復帰して更なるセンシビリティの獲得へと向かった4thアルバム『JUST FOR LOVE』(70年:全米27位)と5thアルバム『WHAT ABOUT ME』(70年:全米26位)。
そしてニッキーとジョン・シポリナ脱退を経ての『QUICKSILVER』へと。
どの時期も魅力的。

このベスト盤では、『COMIN' THRU』を別とすると一番売れなかった『QUICKSILVER』から最多の4曲が選ばれているのが興味深い。
それにしてもどの時期も非常にメロディアスで、シングル・ヒットが『JUST FOR LOVE』からの「Flesh Air」(全米49位)しかなかったのが不思議。
俺が大好きな「What About Me」も、シングルとしては全米100位に終わっている。

以前再結成アルバム『SOLID SILVER』を紹介した時、『ANTHOLOGY』が売れたから再結成につながったのでは、みたいなことを書いたが。
実際にはこのベスト盤、当時全然売れなかったのだそうで。
同じ西海岸のバンドでもヒット・シングルを連発したJEFFERSON AIRPLANEのベスト盤『THE WORST OF JEFFERSON AIRPLANE』(1970年)が全米12位のヒットを記録したのとは対照的であった。

ともあれゲイリー・ダンカンのQUICKSILVERにはその後デイヴィッド・フライバーグ(ギター、ヴォーカル)が参加して、2006年にバンド名をQUICKSILVER MESSENGER SERVICEに戻す。
09年にはゲイリーがバンドを離れ、彼は19年6月に亡くなっているが、バンドは現在もDAVID FREIBERG'S QUICKSILVER MESSENGER SERVICE(なげえ!)として存続しているという。