PUSSY GALORE/GROOVY HATE FUCK(FEEL GOOD ABOUT YOUR BODY)(1987)

PUSSY GALORE.jpgPUSSY GALOREについては、ずっと前に1989年の2ndアルバム『DIAL 'M' FOR MOTHERFUCKER』を紹介した。
https://lsd-blog.at.webry.info/201607/article_1282.html
そのアルバムよりも、1stアルバム『RIGHT NOW!』(87年)、そして同年にリリースされた初期音源の編集盤『GROOVY HATE FUCK(FEEL GOOD ABOUT YOUR BODY)』の方が好きなのだが。
『DIAL 'M' FOR MOTHERFUCKER』を紹介してから10年近く経ってしまった。

その『DIAL 'M' FOR MOTHERFUCKER』についての記事と重複するのだが。
俺が初めてPUSSY GALOREの名前を知ったのは、1986年に買ったミュージックマガジンに載っていたグリール・マーカスの記事でだった。
マーカス氏が何者かも知らないで読んでいたんだけど。
「ベストヒットUSA」で観られるようなポップスやロックに始まり、ヘヴィ・メタルにパンク・ロック、そしてそれ以外…と、興味の幅をどんどん広げつつあった頃。
一方とにかく金がなかったし(今もない)、今のようにネットで気軽に情報を得たり音楽が聴ける時代ではなかったしで、音楽雑誌の記事を読んで期待と妄想を膨らませ、しばらく経ってからレコード屋で現物に出会う、みたいなことは多かった。
当時メタルの情報源としてBURRN!は買っていたものの、まだDOLLを毎号買うようにはなっていなかった俺が、パンク以降の音楽を知るうえで重要な情報源としていたのが、フランク・ザッパの特集を機に買い始めたミュージックマガジンだった。

で、グリール・マーカスの記事を読んでしばらくしてから入手したのがこのアルバム。
マーカスが紹介していた12inch EP「Groovy Hate Fuck」(1986年)と同一のジャケットだったが、更に85年のデビューEP「Feel Good About Your Body」と86年の12inch EP「Pussy Gold 5000」の収録曲を加えた内容。
ただし「Feel Good About Your Body」からは1曲カットされ、逆にクレジットなしのライヴ音源が1曲追加されている。

PUSSY GALORE、1985年ワシントンDCで結成。
「Feel Good About Your Body」でデビューした時のバンドはジョン・スペンサー(ヴォーカル、ギター、メタル・パーカッション)、ジュリア・キャフリツ(ヴォーカル、ギター)、ジョン・ハミル(ドラム、メタル・パーカッション)のトリオ。
ニール・マイケル・ハガーティ(ギター)が加入した後にニューヨークに移り、「Groovy Hate Fuck」をリリース。
ドラムとメタル・パーカッションがハミルから元SONIC YOUTHのボブ・バートに交代する一方で、クリスティーナ・マルティネス(ギター)が加入し、ギター4本でベースレスという異常極まりない編成となって「Pussy Gold 5000」をリリースする。
(1曲のみハミルがプレイ)

メタル・パーカッションをフィーチュアしたバンドとして、PUSSY GALORE以前にEINSTURZENDE NEUBAUTENは聴いていたが。
そのメタル・パーカッションがガーンでもグワーンでもなくカチカチ(?)鳴っている、PUSSY GALOREのサウンドのぶっ壊れ具合は、EINSTURZENDE NEUBAUTENともまた全然違っていた。
そしてスティーヴ・アルビニの録音によって渦を巻く一種オーケストラルなノイズを完成させていた『DIAL 'M' FOR MOTHERFUCKER』とも違って、ギターその他が発生するノイズは渦を巻いたり折り重なったりすることなく、乱暴にただ投げ出される。
しかしそのぶっきらぼうさがとても良い。
アルバム中唯一のカヴァー曲である60年代ガレージ・バンドTY WAGNER & THE SCOTCHMENの「No Count」を聴くと、彼らがやはりガレージの影響下にあったことを改めて認識出来るし、「HC Rebellion」あたりではバンドがTHE VELVET UNDERGROUNDの影響を色濃く受けていたことも知れる。
(ただ、彼らは影響を受けたというVELVET UNDERGROUNDやNEW YORK DOLLSのようには演奏出来なかったんだけど)
そして「Teen Pussy Power」(なんつータイトルだ…)はジョン・スペンサーとジュリア・キャフリツの”Pussy!”という叫びに始まり、続く「You Look Like A Jew」(これまたなんつータイトルだ…)で、ジュリアが嬉々として(?)”Fuck you!”と叫ぶ…。

ちなみにLPのA面は「Teen Pussy Power」「You Look Like A Jew」「Cunt Tease」(コレもひでえな…)「Just Wanna Die」「Constant Pain」…と続くのだが、LPのレーベル面には曲名の略称しか記載されていなくて。
”Pussy””Jew””Cunt””Die””Pain”って…。

ボブ・バートを放出してスティーヴ・シェリーを獲得したSONIC YOUTHが『DAYDREAM NATION』を経て『GOO』でメジャーに進出する一方で、そのボブを取り込んだPUSSY GALOREはアンダーグラウンド道を邁進し続け(?)、結局1990年に解散する。
奇しくもSONIC YOUTHの『GOO』がリリースされた年のことだった。
その後のジョン・スペンサーらがアンダーグラウンドのままでいなかったことは、今更言うまでもない。
ともあれPUSSY GALORE、オリジナル・アルバムやEINSTURZENDE NEUBAUTENをカヴァーしたEP「Sugarshit Sharp」(88年)はもちろん、解散後にリリースされたライヴ音源とかも持っている。
俺、PUSSY GALOREそんなに好きだったんだっけ…。
(…と今にして思う)