V.A./PORTOBELLO SHUFFLE
サブタイトルに“A TESTIMONIAL TO BOSS GOODMAN AND TRIBUTE TO THE MUSIC OF THE DEVIANTS AND PINK FAIRIES”…って、長いよ!
サブタイトル見てると、「ボス・グッドマン死んだのか?」とか不安になるが、元気に生きてます。
(レミー同様、糖尿病とかいう話だけどね)
“ボス・グッドマン”ことデイヴ・グッドマンは、THE DEVIANTSやPINK FAIRIESのマネージャーとして有名なノッティングヒルゲイトの名物男であり、初期のSEX PISTOLSの面倒見ていたことでも知られる。
その彼をたたえつつ、界隈の多彩かつ豪華なミュージシャン連中がDEVIANTSとPINK FAIRIESの楽曲をカヴァーするという、このあたりのファンにはたまらない1枚となっておりますよ。
1曲目からいきなり、ポール・ルドルフ(ギター、ヴォーカル)をフィーチュアしたトリオ編成、つまり2ndアルバム当時のメンバーによるPINK FAIRIESの「Do It!(Again) '09」!
前半のドッタバタな親父R&Rに「ありゃりゃりゃ…」と思ったが、後半ギターソロに入ると、グイグイ盛り上がって行き、思わず引き込まれる。
ポール、最近どうしてたか知らないけど、錆付いてないね。
フェリックス・デニス(えーと、誰だ?)によるスポークン・ワードに続いて、3曲目になんとCLARK-HUTCHINSONによるTHE DEVIANTSカヴァー「B(l)ack Transit Blues」。
アンディ・クラーク(キーボード)とミック・ハッチンソン(ベース)…というとSAM GOPAL'S DREAMからジェフ・ベックまで英国ロックシーンを斜めに横断した通好みな人たちだが、まだやってたか!
続くPINK FA with NIK TURNERはPINK FAIRIESの名曲「Uncle Harry's Last Freakout」をカッコよくキメる。
PINK FAってのはFAIRIESのトリビュート・バンドらしいが、ちゃんとツイン・ドラムで、しかもその片割れが元HAWKWINDのテリー・オリス!
そこに同じく元HAWKWINDのニック・ターナー(サックス)も参加してるんだから、悪かろうはずがない。
途中から「Walk Don't Run」になるところも最高。
そしてMC5の初代マネージャーとして有名なジョン・シンクレアが、元LIGHTNING RAIDERSのジョージ・バトラー(ドラム)を従えてミック・ファレンの2ndソロ・アルバムからの「People Call You Crazy」を。
ジョンは元MC5のウェイン・クレイマー(ギター)らをバックにしたアルバムも出しているが、粘っこい演奏にスポークン・ワード風に言葉を乗せていくというスタイルは、ミックの曲をカヴァーするにはちょうどいい感じ。
6曲目にJOHN PERRY, ADRIAN SHAW and ROD GOODWAYでこれまたミック・ファレンの2ndソロから「Half Price Drinks」。
ロッド・グッドウェイ(ヴォーカル)とエイドリアン・ショウ(ベース)というとノッティグヒルゲイト周辺の裏・名バンドMAGIC MUSCLE復活、ということだが、ギターのジョン・ペリーって…えっ、THE ONLY ONESの?
(MAGIC MUSCLEにいたことあるんだってねえ)
更にこのあとTHE DAMNED祭り!
キャプテン・センシブルがPINK FAIRIESの2ndアルバムから「Say You Love Me」を、ラット・スキャビーズとブライアン・ジェイムズによるSCABIES JAMES(そのまんま)がこちらは1stから「Teenage Rebel」をカヴァー。
特にブライアン(とラット)はBRIAN JAMES GANGの渋さが嘘のような爆裂猛スピードパンクカヴァーに仕上げてる。
9曲目のダリル・リードって知らないんだけど、その次にウィルコ・ジョンソン登場!
PINK FAIRIESの2ndアルバムから、このオムニバス・アルバムのタイトルにもなった「Portobello Shuffle」を、あのノコギリ・ギターで、まるでウィルコのオリジナルみたいにしちゃってます。
11曲目にはTHE DAMNEDに続いてスティッフ同窓会か、レックレス・エリック(!)が、スティッフでレーベル・メイトだったラリー・ウォリス作の「I Wish I Was A Girl」(PINK FAIRIESの3rdアルバムから選ばれているのはこの曲だけ)。
女性ギタリスト、エイミー・リグビーの12弦ギターをフィーチュアしたサイケデリックな仕上がり。
そしてそして、MOTORHEADファン大注目、FARREN, COLQUHOUN AND TAYLORによるオリジナル曲「Baby Pink」。
ミック・ファレン(ヴォーカル)、アンディ・コルホーン(ギター)、そしてフィル“フィルシー・アニマル”テイラー(ドラム)というと、つまり90年代末のTHE DEVIANTSが復活したような編成だが、それにしても十数年ぶりに聴くフィル・テイラーの新録音源。
しかし、ベースで参加してるクリス・ホームズって、まさかWASPのあの人じゃないよね?
このあといきなりジェロ・ビアフラ(元DEAD KENNEDYS)が出てきて、「Metamorphosis Exploration On Deviation Street Jam」なるTHE DEVIANTS改変ジャムバンド風ナンバーで延々歌いまくる。
実に13分。
元々こっちの人脈でも何でもなくて(もちろんヘンリー・ロリンズあたりと同様、このへんのファンなのは間違いないだろう)、たまたま飛び入りしたみたいだが、聞くところによると一部では顰蹙買ってたらしい(苦笑)。
最後にフェリックス・デニスが2001年にライヴ録音した「Big Boss Man」(THE DEVIANTS/PINK FAIRIESには関係ない選曲だけど、ボス・グッドマンに引っかけたんだろう)が収録されてるんだが、問題はその前に入ってるラリー・ウォリスの「He's The Boss」。
ラリーが一人でこしらえたというやっすい打ち込みリズムに乗って、ギター弾いては叫びまくるという…珍曲。
コンピューターを学んでる、という話は以前に聞いていたとはいえ…それにしてもコレはないだろう(苦笑)。
ブックレットにはメンバーの近影が載っていて、最早キャプションがないと誰が誰だかわからないくらい老化したPINK FAIRIESメンバーの姿に泣き笑い、なんだけど、その中の1枚に、「MC5 Japan」主宰者・赤川夕起子さんのお姿が!
ともあれこの界隈お好きな方なら必携の78分であります。
(2020.4.18.改訂)
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