FASTWAY/SAY WHAT YOU WILL(1991)
なんだかんだで今も活動してるらしいFASTWAYですが。コレは1986年のライヴを収録したアルバム。
スリーヴノーツには“ファスト”エディ・クラーク(ギター)自身のコメントもフィーチュアされているから、エディがレシーヴァー・レコーズに音源を提供したんだろう。
レシーヴァーからは80年代後半~90年代前半にかけてMOTORHEADの音の悪いライヴ盤や聴くに堪えない内容の未発表音源とかが出てるけど、それらも同様にエディがテープを流していたと思えばつじつまが合いますね。
1986年というと、FASTWAYが3rdアルバム『WAITING FOR THE ROAR』をリリースした頃。
2nd『ALL FIRED UP』(84年)のリズム・セクション…チャーリー・マクラッケン(ベース:元TASTE)とジェリー・シャーリー(ドラム:元HUMBLE PIE)はとっくにいなくて。
当時のパーソネルは、デイヴィッド・キング(ヴォーカル)、“ファスト”エディ・クラーク(ギター)、シェイン・キャロル(ギター、キーボード)、ポール・リード(ベース)、アラン・コナー(ドラム)の5人。
馴染みの薄い“その他3人”は、デイヴィッドがFASTWAY加入前にアイルランドでやってたSTILLWOOD時代のメンバー。
AC/DCの前座として回ってたヨーロッパ・ツアーの最後の方のショウらしい。
『WAITING FOR THE ROAR』といえば、テリー・マニングがプロデュースしてシンセサイザーを大々的に導入、一気に音楽性が変わった問題作だけど。
何が問題かって、“ファスト”エディ・クラークがソングライティングにまったく関わってなかった、それに尽きるだろう。
悪くないアルバムだとは思うが、それまでのFASTWAYとはあまりにも違い過ぎた。
さてこのライヴ盤では、『WAITING FOR THE ROAR』までの3枚のアルバムからわりとバランスよく演奏されている。
LED ZEPPELIN丸出しの「Easy Living」で颯爽と始まった後、3曲目の「The World Waits For You」で分厚いシンセが流れ出すと少々ぎょっとするけど。
ライヴでひとつながりに聴く分には、スタジオ作と違って一応同じバンドの曲・演奏として聴けるし、1st・2ndアルバム収録曲での“その他3人”のプレイもとりあえず問題ないレベル。
“ファスト”エディ・クラーク自身のコメントでは、“このアルバムには今までに自分が録音したギター・プレイの中でもベストなものが含まれている”と語られていて。
なるほど、『WAITING FOR THE ROAR』収録曲でも比較的ギターが前面に出たバランスになっているし、ベストかどうかは別として、エディの演奏は確かになかなか悪くないと思う。
FASTWAYのレコードでは、個人的に1stアルバム『FASTWAY』(1983年)と並んでよく聴く1枚。
しかし“ファスト”エディ・クラーク…よくわからん人だ。
MOTORHEAD脱退後のエディは二度とMOTORHEAD的な曲を書かなかったんで(1993年のソロ・アルバムでレミーがゲスト参加した1曲が唯一の例外か)、MOTORHEADのあの方向性が完全にレミーのものだったことがわかるというもんだけど。
じゃあエディ・クラーク本来の音楽性は…というと、FASTWAY以降の活動からは全然見えてこない。
FASTWAYの初期2作だけ聴くと、LED ZEPPELINに似てる似てないは別にしても、オーソドックスで古典的なブリティッシュ・ハード・ロックのマナーに則った方向性が本来の持ち味なのか、と思ったんだが。
しかし、その後の迷走ぶりときたら…。
(一時期、BON JOVIみたいなのがやりたい、とか言ってたらしいしな…)
ギタリストとしては一流だと思うんだけど、ソングライターとかバンドリーダーとしては、定見とか確たる方向性みたいなものが、見事になかったとしか思えない。
だからこそ、自分のリーダー・バンドのアルバムで1曲も書かない、なんてこともやってしまうワケで。
(FASTWAYの初期2作は英国でまったく売れなかったらしく、自分本来の音楽性よりも商業的成功がどうしても欲しかったのだろう、とも思われる)
それでも“ファスト”エディ・クラークのギタリストとしての魅力、それ自体は不滅で。
だからこそメンバーがまるっきり入れ替わりつつもいまだにFASTWAYとして活動出来てるんだろうな。
1993年にはソロ・アルバムもリリースしたエディ・クラークだったが、その後FASTWAYを再編。
2007年10月にはトビー・ジェプスン(ヴォーカル:元LITTLE ANGELS)やジョン・マクマナス(ベース:元MAMA'S BOYS)らを擁するラインナップで初来日を果たしている。
そして、シンガーとしての才能や柔軟性、更にエディよりもずっと若かった分の伸びしろがあったデイヴィッド・キングは、その後エディ以上の大成功を収めるのでありました。
“その他3人”は…何処かに消えた。
(2017.7.27.改訂)
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