『カクシンハン版ジュリアス・シーザー』@池袋シアターグリーンBIG TREE THEATER

カクシンハン版ジュリアスシーザー.jpg25日。
何年ぶりか、いや何十年ぶりかの観劇。

カクシンハンは、演出家・木村龍之介が2012年に旗揚げした劇団。
今回は、ウィリアム・シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』を、独自の解釈で上演。

で、俺がどうしてこの舞台を観に行ったかというと。
路上ドラム演奏など、世界を股にかけるドラマー、ユージ・レルレ・カワグチ(元ROSEROSE他~現ANOTHER DIMENSION)が出演者に名を連ねていたから。
highenaとかANOTHER DIMENSIONとか、彼の参加バンドはこのブログでも紹介した。
その彼がシェイクスピア劇でドラムを?
それはどのような…。

シェイクスピア俳優でもあるリチャード・ストレンジ率いたDOCTORS OF MADNESSのTシャツを着込んで、心の準備はOK(笑)。
しかし実のところとんでもない方向音痴である俺は、池袋駅構内で早速方向を見失い、おまわりさんに道を訊いてどうにかシアターグリーンへとたどり着いたのだった。

観劇何十年ぶりの俺でも、物語はよく知っている。
シーザーへの敬愛と自分の信じる正義の狭間で葛藤し、遂にシーザーに刃を向けるブルータス(河内大和)、そしてシーザーの腹心・アントニー(真以美)。
彼らを中心に、英雄が暴君と見なされ、忠臣が逆賊に転じ、義憤に発した世直しが世界を混乱へと導いていく、その様が描かれている。
アントニーがシーザーへの追悼演説を通じて、ブルータスに心酔していた大衆を言葉巧みにブルータス憎しへと煽り立てて行く有名なくだりなんかは、結末を知っていてもゾクゾクさせられた。
(ブルータスがいかに公明正大であるかを連呼しながらブルータスを逆賊に仕立て上げて行く弁舌…まさに究極の褒め殺し)

しかし、演出は古典に捉われず、かなり自由。
オクテヴィアス(岩崎雄大)はパソコンをいじっているし、アントニーらと戦争状態になったブルータスとキャシアス(石橋直也)は迷彩パンツ姿で自動小銃を携帯しているし、アントニーとオクテヴィアスの連合軍は戦場に毒ガスを投入するし、ローマ市民は明らかにマイナンバー制度を皮肉った“市民ナンバー”で管理されているし。
時に重力を無視したような動きを見せる(特にオープニング)河内大和の身体表現は見モノだし、とんでもない量の台詞を時に歌舞伎調、時に落語調まで交えて縦横に吐き出す石橋の演技も圧巻。
真以美のジャンプの高さにもびっくり。

そしてユージ・レルレ・カワグチ。
役名は“軍神マルス”。
台詞はないし、ステージ後方に設けられた白い小屋のような(?)ドラム台の中に鎮座したまま前に出てくることもないが、随所であの歯切れ良いドラムを聴かせ、物語をロールさせるのだった。
特に戦闘シーンでの、まさに鬼神の如き叩きまくりは圧倒的。

無常を感じさせるフィナーレの後、ユージ・レルレ・カワグチの豪快なドラム・ソロに乗せてのカーテン・コール。
最後はユージも他の出演者と共にステージ前方へ。
実に存在感の大きいアクトでした。
そして劇場の外に出た俺は…池袋駅の方向を見失っていた(苦笑)。


20日から1週間の公演。
明日が千秋楽。
チケットはありやなしや?


(2022.4.1.改訂)

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